借金問題に苦しみながらも、徐々に返済を進め、心にわずかな余裕が生まれた私は、日々の生活に新たな一歩を踏み出そうとしていました。
しかし、人間関係では依然としてトゲのある対応をしてしまうこともあり、借金を背負い込んだ当初の攻撃的な性格が完全に消え去ったわけではありませんでした。
そんなある日、突然の左足の痺れに見舞われ、ここ最近通い始めたマッサージ店へと足を運ぶことにしました。
しかし、残念ながらその日は満員で、私の悩みは解決されずじまい。途方に暮れながら帰路につこうとすると、ふと少し先に整骨院があることを思い出しました。
普通の方なら代わりにこの整骨院に行こう。と思われるかもしれませんが、私は躊躇しました。
「整骨院に対して恐怖があったからです。」
長年、整骨院に対して持っていた誤解―それは、そこで骨を無理やり折られ、何か人体の持つ不思議な超回復を促す場所であるという、根拠のない恐れでした。
この考えは、どこから来たのかさえ分かりませんが、いつの間にか私の中に根づいていたのです。
しかし、この時、左足の痺れに加えて腰痛も激しくなり、どうにも我慢できない状態に。そこで、骨を折られるかもしれないという不安を抱えつつも、私はその整骨院に足を踏み入れる決心をしました。
「麻酔なしで足と腰を折られるかもしれない。その覚悟で入ろう。」
整骨院に足を踏み入れた私を待っていたのは、穏やかな顔立ちの年上の男性でした。この整骨院は整体院としても運営されており、私の痛みや状態に対して丁寧に耳を傾けてくれました。
施術が始まり、私の中にあった「無理矢理骨を折られるかもしれない」という恐れは次第に和らいでいきました。
そして施術中、予期せぬ一言が私を驚かせました。
「◯◯さん、筋肉質ですね〜」
この言葉は、私にとって予想外の嬉しい驚きでした。
なぜなら、私は幼少期から自分の体を軟弱で弱々しいと感じていたからです。友人や知人は武道の黒帯を持ち、男らしい体つきをしていたため、常に自分の身体と比較し、劣等感に苛まれていました。
「友人は空手二段で子供の頃から喧嘩も強い」
「大学の後輩も柔道二段で筋トレする時は20kgのダンベルとかでリストを強化している」
それに比べて私は、、、、
この事だけでは無いのですが、いつも弱々しい自分に悩んでました。
しかし、人体の勉強を常日頃からされている方に「筋肉質」と言われたことは、他人の言葉よりも説得力があり、私にほんの少しですが自信をもたらしました。
それは、私が自分自身について抱いていた長年の誤解を解くきっかけとなり、自己受容への扉を開く一歩でした。